Reefcheck manual [2007年版 Ver.L-1.1] 
2010年11月16日update

制作/訳・Coral Network
Coral Networkの著作物の無断使用はお断りします。
内容に誤解を生じさせないためです。必ず御連絡下さい。
<お願い>
何よりもまず、リーフチェック本部の 「詳細」 「基準調査法」 などの資料を熟読して下さい。
背景を知らないと理解が中途半端になってしまいます。 このマニュアルと資料は、その手助けのために作られています。
また、マニュアルは刻々と変化します。最新の物を読んで下さい。
RC本部HP翻訳文
 
INDEX
A.事前準備 B.前日の準備 D.終了後
1.チーム科学者依頼 7.消耗品準備 1.チームミーティング 1.データ集計
2.日程決定 8.水中用図鑑準備 ※ 2.当日の担当決定 2.マスコミへの連絡 ※
3.参加者募集 9.参加者への資料送付 ※ 3.参加者の懇親会 ※
4.登録フォーム作成・申請 10.参加証の作成 ※ C.調査当日 4.データ送付
5.データシートの作成、筆記用具準備 11.マスコミへの連絡 ※ タイムテーブル
6.ミーティング用説明資料準備 補足/参考資料 手順チャート ※:必要に応じて実施

 A.事前準備

1.チーム科学者依頼
 調査結果をリーフチェックの正式なデータとして本部に認定してもらうには、 チーム科学者が必要です。チーム科学者には、参加者が判断しづらい調査対象について現地で指導して頂いたり、 サンゴ礁の変化をより詳細に判断して頂くなど、多方面に渡るアドバイスをお願いする事になります。 「どんな人が有資格の海洋科学者なのか」ですが、熱帯海洋生態学を専攻し、水中での測線調査の経験を持った、 修士または博士号をもった科学者を探しています。個々人について言えば、独学であっても、 私達が良く知っているサンゴ礁の科学者が太鼓判を押す人ならば、学術面のリーダーと認めることに吝かではありません。  科学者への依頼についてお困りでしたら、コーラル・ネットワークへ御相談下さい。

2.日程決定
 リーフチェックは1月1日から12月31日までを1つのシーズンとして行われます。 国内での開催日程はリーフチェック・ジャパンのホ−ムペ−ジで確認して下さい。
 日本では、台風が少なく、ダイビングサービスが比較的手が空いている6月か9月が良いと思います。 チーム科学者の予定や、既に日程の決まっている他チームのスケジュールなど考慮して日程を決め、 できるだけ2ヶ月以上前に日程を決定してアナウンスして下さい。 特に飛行機を利用して参加者が集まる場合には、早めに日程が決まっていれば、割安な航空券が取れる可能性が増え、 遠方の参加者が参加しやすい状況を作り出す事が出来ます。
 日本での開催日程の一覧表をリーフチェック・ジャパンで作成しますので、日程が決まりましたら連絡をお願いします。

http://reefcheck.jp/

3.参加者募集
 参加者の募集は様々なメディアを通じて呼びかけて下さい。 自分のチームが定員に達したら、他のチームを紹介して下さい。 ダイビングサービスのリピーターの方にも積極的な参加を呼びかけて下さい。 そして何よりも地元の方へ呼び掛けて下さい。
 参加費の設定は、調査チームごとに行ってください。 参考に、調査日と予備日の2日間のダイビングフィーと、一泊二食付きでの2〜3泊分の宿泊費を 含めた場合の設定例を掲載します。 短い日程を希望する参加者がいる場合や、チーム科学者の費用を参加者で負担する場合には、 費用の内訳を示すと良いと思います。
 募集人数は、8人を目安に、5〜10人を募集して下さい。

例1本州某所(車で集合する人が多い場合)
主催:コーラル・ネットワーク
チームリーダー:○○ ○○ 
チーム科学者:××水族館 ○○ ○○
6/17(金) 夜に現地集合・チームミーティング
6/18(土) 調査日
6/19(日) 予備日
宿泊1泊(朝夕食付き)\7000、タンクレンタル2本\5000、
ダイビングボート一人\4000

例2離島(船や飛行機で集合する人が多い場合)
主催:(現地DSなど)
チームリーダー:×××ダイビングサービス ○○ ○○
チーム科学者:××大学水産学部卒 ○○ ○○
8/8(金) 東京発
8/9(土) 早朝現地着 午前:チームミーティング 午後:調査
8/10(日) 予備日 現地発
宿泊1泊(朝夕食付き)\7500、タンクレンタル2本\4000、
車レンタル一人\3000、
ダイビングボートチャーター一人\3500、
チーム科学者交通費&経費負担分\5000+\3500
注)上記は参加者が6人の場合です。参加者数により変動しますのでご了承下さい。

4.登録フォーム作成・申請
 登録フォーム(L1-1)の申請は電子メールで行います。
英語の申請書は本部(メールアドレス変更中につきコーラル・ネットワークで代行します)へ、 日本語の申請書はコーラル・ネットワークの担当者<miyamoto@coralnetwork.jp>へ送って下さい。 本部で申請が受理されると、英文のデータシートが電子メールで送られてきます。
日本語のデータシートについては(L1-2)を見て下さい。
 メール環境をお持ちでない方は、コーラル・ネットワークまで相談して下さい。

5.データシートの作成、筆記用具準備
 調査時は日本語のデータシートを用いると分かりやすいです。 A4サイズが使いよいでしょう。
 (水中で使用するデータシートは
資料インデックス の水中用データシートからダウンロードできます。)

データシートの作成方法は以下の二つが簡単です。

(1)キモレックなどの耐水・耐熱紙を使用しコピーし、プラスチック製で紙を挟む 留め具の着いたバインダに固定します。 鉛筆に紐をつけバインダにつなぐとともに、バインダにもリストストラップの紐をつけるようにします。 データシートがめくれないように、大き目の輪ゴム等による固定を追加すると良いと思います。
下敷きなどのプラスチックの板にビニールテープなどで固定する方法もあります。
水中ノートで使用しているユポ紙は薄いものですと熱で縮んでしまうのでコピーをするには好ましくありません。 ユポ紙を使用する時は、厚めのものを使用してコピーするか、マイクロドライ方式のもので印刷するか、 手書きでデータシートの書式を書き写して下さい。手書きの場合、記載すべき項目が漏れないように注意して下さい。

(2)白い下敷きの表面をサンドペーパーで荒らします。 そうすると鉛筆で直接下敷きに書く事が出来ます。この場合も鉛筆に紐をつけ、下敷きにつなぎます。 事前にデータシートの書式を下敷きに書き写し、調査で使用します。 記載すべき項目が漏れないように注意して下さい。

6.ミーティング用説明資料準備
 調査手順説明書:基準調査法を読み、整理して下さい。 (L7-2
 ビデオ:実際の調査の様子を記録したビデオです。手順説明に用います。
 写真:生物種、底質の説明に用います。
 図鑑:生物種の説明に用います。

7.消耗品準備
 記録用に用いる電池や記録メディア(SDカード等、ビデオテープ、フィルムなど)を用意します。 マスコミへの提供を行う場合、デジタルカメラの使用をお勧めします。

8.水中用図鑑準備
 必要に応じて、調査時に海に持って入り対象の同定に用いるために、無脊椎動物や底質分類の 参考写真をラミネートします。(L8-1
 (Coral Network で準備出来ます。有料)

9.参加者への資料送付
 参加者には、事前にコーラル・ネットワークのホームページなどでリーフチェックの 方法、詳細、手順、スケジュールなどを見ておくように勧めてください。参加者の中に、コーラル・ネットワークのホームページ にアクセス出来ない方がおられる場合には、リーフチェックの方法、詳細、手順、スケジュールなどを参加者に 送付するとミーティングで説明しやすくなります。
 希望する調査分野があれば事前に連絡してもらい、担当割りの参考にして下さい。 役割分担が事前に決まった場合などには、担当してもらう分野の詳細な資料を送る場合もあります。 しかし、参加者の当日の体調によりダイビングが出来ない人が出る場合もありますので、 事前に役割分担を明確にしてしまうと困る事もあります。
 なお、無脊椎動物の担当者には、水中ライトを持参することを推奨してください。

10.参加証の作成
 可能なら、独自の参加証やTシャツなどの記念品を作成して下さい。 また参加したい、と参加者が思えるような物が好ましいです。 コーラル・ネットワークでは参加証 を作成しましたので希望チームは連絡して下さい。無料です。

11.マスコミへの連絡
 可能であれば、リーフチェックの取材をしてもらうために、調査場所や日時に加え、 今回のリーフチェックのトピックスやリーフチェックの歩み、基本方法、詳細、手順を簡単に説明する資料 (L11)を作成し、新聞社、テレビ局、などのマスコミに連絡します。 報道がなされると、地域の人々の関心が高まります。
調査前後に会見などを行う場合には、その予定も連絡してください。

補足
 コーラル・ネットワークでは、以下のサポートを行っています。必要な項目がありましたら、早めに連絡をして下さい。
a)リーフチェック本部への登録申請
b)調査データの本部への送付
c)チーム科学者の紹介
d)日本語データシートの作成
e)各種資料の作成
f)日本国内の各チームの日程の取りまとめ
g)各チームへのマニュアルの送付
h)参加証の発行
i)ホームページやメーリングリストによるアナウンス
j)年度別・地域別のデータ・参加者名簿の記録・保存

参考資料
RC西表及びRC与論の調査地・調査測線の航空写真がみれます。 【西表】 【与論】

 B.前日の準備

1.チームミーティング
 チームミーティングでは例えば次のような事を行います。

  • メンバーの紹介
  • リーフチェックの思想、方法、詳細、手順の説明
  • 調査海域の説明
  • 調査の位置づけ、意味、各担当の役割、の詳細な説明
  • 生物・底質のビデオ、写真、図鑑による説明
  • チーム科学者によるサンゴ礁の説明
  • 調査当日の担当割り
  • 調査当日のスケジュールの説明
  •  ミーティングには出来るだけ時間を取り、全員が十分に理解できるようにして下さい。
     参加者には以下の項目を確認して下さい。
    1)ダイビング器材の不足は無いか
    2)担当と調査方法は理解出来ているか
    3)不明な点は無いか(
    重要です!!しつこいくらいに確認して下さい

     お互いが良く理解できる自己紹介をしあって、参加者全員の顔と名前が一致するような雰囲気づくりをして下さい。そして押し付けやお仕着せのリーフチェックではなく、全員参加のリーフチェックを作るようにして下さい。

    2.当日の担当決定
     当日の役割は遅くともミーティングの中で決定して下さい。以下に役割と適切な人数をあげます。人数が多い場合はより詳細に、人数が少ない場合は兼任で決定して下さい。

  • チームリーダー 1人
  • チーム科学者 1人
  • リーダー補佐 1人(必要に応じて)
  • 1)調査測線設置・回収 1人以上
  • 2)魚類調査 2人
  • 3)無脊椎動物調査 2人
  • 4)底質調査 2人
  • 5)ビデオ 1人
  • 6)写真 1人
  • 7)安全確保要員 1人以上
  • 8)GPS記録 1人
  • 9)水中データ回収 1人
  • 10)アンカー打ち 1人
  • 11)データ整理 1人
  • 12)本部への送付 1人
  • これらのうち、1)〜7)が水中での作業の役割です。  
    C.調査当日
     
     天候、海況、参加者のスキルなどを総合して、事故の無いように調査を実施して下さい。調査を実施できないと判断したら、躊躇せず調査を延期するか調査地点を変更して下さい。無理は禁物です。
     スケジュールは以下の様になります。 

    集合
    器材、調査担当の理解の確認
    調査地点に移動
    リーフチェック
    データ集計
    調査後の記者会見で調査概要を発表(写真、ビデオを提供)
    解散

    当日のタイムスケジュール(西表島鹿川湾調査での例)
    8:30 民宿出発
    9:00 港出港
    9:50 調査地到着・アンカーリング・GPS測定
    10:10 -6mメジャー・始点・終点ブイ設置
    10:30 魚類調査開始 
    10:40 無脊椎調査開始
    10:45 底質調査開始
    11:45 調査終了・データ確認
    11:50 メジャー・ブイ回収
    12:00 休憩(食事)
    12:40 -10mメジャー・始点・終点ブイ設置
    13:00 魚類調査開始
    13:10 無脊椎調査開始 13:15-14:12
    13:15 底質調査開始
    14:15 調査終了・データ確認
    14:20 メジャー回収
    14:30 GPS測定・ブイ回収・調査地出発
    15:20 港帰港・機材片付け
    17:00 マスコミ用写真送付・データ集計
    18:00 夕食
    19:00 懇親会・データ集計

    ・データ集計に関して、底質のデータ入力には、かなり時間がかかります。
    ・マスコミへの写真の送付も含めたマスコミ対応にも結構時間がかかります。

    D.調査終了後

    1.データ集計
     調査終了後、なるべく早くデータを整理します。 チーム科学者からのコメントも、早めにもらうようにし、 調査の参加者の記憶がまだ鮮明なうちに、できるだけ早く調査結果や速報的なものでもよいので 調査結果のコメントを参加者に伝えるようにしてください。 マスコミへの連絡のためにも、なるべく早く集計を行います。

    2.マスコミへの連絡
     事前に連絡した際、結果を教えてくださいと言われた場合などには、 調査結果や調査風景の写真、チーム科学者のコメント(日本語で)などをマスコミに送ります。 できればそのまま記事にしてもらえるような文章を作成して送った方が、 間違いの少ない記事になる可能性が高いです。 調査の結果、特別なトピックスがあるような場合などには、特に積極的にマスコミへの連絡を行ってください。

    3.参加者の懇親会
     調査が終わったあとの慰労の意味も込めて行うようにします。 乾杯の前に、データの整理をし、会の中で結果の報告をするようにします。 そして、和やかな雰囲気の中に、調査に参加しての感想や今年のサンゴや魚、無脊椎動物の様子を調査した人達から、 皆が教えてもらい、科学者の方からコメントをもらったりし、来年はどうだろうかと予測をしあったりし、 調査の楽しさを分かちあえるようにして、楽しい懇親会にしましょう。

    4.データ送付
     当日に行ったデータ集計に加え、チーム科学者のコメントの英訳を リーフチェック本部から送られてきた報告用フォーマットに記入してリーフチェック本部に送付します。 リーフチェック・ジャパンでも国内のデータの集計をしますので、生データ、整理後のデータ、写真・ビデオのコピーを送って下さい。
     英名との対応が明確でない場合などには、コーラル・ネットワークから本部にデータ送付することも出来ます。申し出て下さい。
     本部に送付するデータは、必ず手元にコピーを残して下さい。次の年に参考になります。


    本部提出用のデータシートは、以下のルールに従ってファイル名を付けてください。
    ・ファイル名

    1)調査地情報  調査地名 日付(日-月-年) site.xls
    2)水深3mベルト 調査地名 日付(日-月-年) belt_s.xls
    3)水深10mベルト 調査地名 日付(日-月-年) belt_m.xls
    4)水深3mライン 調査地名 日付(日-月-年) line_s.xls
    5)水深10mライン 調査地名 日付(日-月-年) line_m.xls

    特に日本では判り易くするために以下のようにしたいと思います。
    ポイント名-島or地名-Japan 日付 xxxx.xls

    調査地名と日付とsite他の間は半角スペースです。

    例1) 小浜島の小浜北での2003年6月7日のRCの調査地ファイル
      Kohamakita-Kohama-Japan 07-06-03 site.xls

    例2) 静岡県田子白崎での2003年6月7日のRCの調査地ファイル
      Shirasaki-Tago-Japan 07-06-03 site.xls


    ・調査地データ
     2水深を一つのシートに書きます。調査開始時間と終了時間は、一日のトータルで考えてください。
     もし、何かの理由で水深ごとに日にちが変わったら、それぞれの日付でシートを書いてください。
     その時には1つのファイルの中にシートを各日付分の2枚を入れてください。

    送付先

    1)リーフチェック本部
     Reef Check
     P.O. Box 1057
     17575 Pacific Coast highway, Ste B
     Pacific Palisades CA
     Los Angeles, CA 90272-1057 USA
     Tel: (USA)+310-230-2371 or 310-230-2360
     Fax: (USA)+310-230-2376
     General information E-mail address: rcinfo@reefcheck.org
     Data submission E-mail address: rcdata@reefcheck.org
     Team registration E-mail address: rcregist@reefcheck.org

    2)コーラル・ネットワーク事務局
     宮本 育昌(Yasuaki Miyamoto)
     E-mail:
     〒226-0025 神奈川県横浜市緑区十日市場町1258番
             十日市場ヒルタウン14-2-502
     Tel/Fax:045-985-3057

     リーフチェックに関するURL
     リーフチェック本部    http://reefcheck.org
     リーフチェック・ジャパン http://reefcheck.jp