リーフチェック2000 の詳細   2000年7月28日update


 
 

 サンゴ礁は、世界第二の多様な生態系であり、生態学における最も重要な研究対象になってきました。サンゴ礁は食料資源として、薬品に使われる化合物として経済的価値が高く、また嵐のとき海岸を波の浸食から守ってくれます。サンゴ島やその白い砂浜は何百万人もの観光客を魅了し、世界の700万人のスキューバファンの多くは、サンゴや色鮮やかなリーフフィッシユを求めて旅します。サンゴ礁は地球最大の生物体系であり、宇宙から眺められるかも知れません。その重要性にも拘わらず、サンゴ礁生物が人的影響に対してどのように反応するかを理解するためには殆ど何もなされてきませんでした。

論理的根拠
 ダーウィンの時代から、科学者はサンゴ礁を監視し続けています。1993年の国際サンゴ礁学会(マイアミ大学のRobert Ginsburg 教授主催)は、世界のサンゴ礁の現状について討論するため一堂に会した多くのサンゴ礁学者にとって一つの転機となりました。世界のサンゴ礁の現状の全体像を把握するには情報が不十分であることが、会議の終わりには明らかになったのです。
 サンゴ礁学者のあるグループは、これまで科学者がとってきた標準的な監視方法にも何か問題があるのではないかと考えました。これらの詳細な調査法は、社会生態学を研究するために考案されたもので、サンゴ礁の健康が損なわれたとき影響を受けな
いかもしれない多くのパラメーターの測定が含まれています。科学者は、サンゴ礁に及ぼす人的影響を調べるには、もっと特殊な調査法が考案されなければならないと感じました。何故なら、それは防ぐことの出来る影響だからなのです。
 
 従来の科学的アプローチに関する別の重大問題として、サンゴ礁学者の数が非常に少なく、その殆どが多忙のために時折しか調査が出来ないことが分かりました。ですから、サンゴ礁の健康状態を調べるためのデータベースには非常にむらがあり、容易に比較出来ないのです。解決策は、毎年ある一定期間に地球規模の調査を組織すること−科学者でないボランティアの強力を得て、世界のサンゴ礁の健康状態に関する総
監的調査を行うことです。サンゴ礁に注意を喚起するため、Ginsburg博士率いるサンゴ礁学者のグループが1997年を国際サンゴ礁年と宣言しました。
 リーフチェックのコンセプトはここから始まり、1996年初めに構想され、1996年7月22日にGregor Hodgson 博士とShaun Waddell 博士によって「リーフチェック」と名付けられました。

目的
 リーフチェックは、経験豊かな海洋科学者に率いられたレジャーダイバーのチームによるグローバルなボランティア活動です。これには二つの目的があります。
1)サンゴ礁の価値、その健康への脅威、これらの問題の解決策について社会の注意を喚起すること
2)全世界のサンゴ礁に対して、人的影響のレベルの、科学的に有効かつ総監的な見解を得ること

組織
 リーフチェックは、世界中の何百人もの科学者やダイバーによって熱心に支援されてきたボランティア・プログラムです。世界本部は、Hong Kong University ofScience and Technology のInstitute for Environment and SustainableDevelopment にあります。私達は幾つかの国内および地域の調整センターの間で、リーフチェックの責任を分担しました。あなたが、私達の国内あるいは地域コーディネーターの付近にお住まいでしたら、トレーニング、資金調達、場所の選定、その他詳細については、そちらに連絡をとってください。それから私達の提供する登録申請用紙を使って世界本部に直接登録してください。

調査期間
 リーフチェック2000年の調査は、2000年1月1日から12月31日の間に行われます。予定されている調査レポートの公表時期は2000年11月中旬ごろになり、グローバルな結果をレポートするため香港で国際的な記者会見が行われます。その後は、各々のコーディネーターが、自分の地域の調査結果に焦点を当てて、それぞれ記者会見を行っていただきたいと思います。

調査方法
 リーフチェックの基準調査法は、非公式のリーフチェック科学委員会により討議され、認可されました。これらの調査法を、既存の調査法に出来るだけ合わせるように注意が払われてきました。しかしながら、リーフチェック・プロジェクトの焦点が人的影響を探るという点に絞られているため、主には簡約化のために幾つかの違いが出てきます。例えばリーフチェックのためにはサンゴの成長形態を記録する必要はなく、このパラメーターは省かれています。しかし、イセエビやハタ科など、一般的に収穫されるサンゴ礁に生息する生物の数を数える調査法は含まれています。私達は、一連の世界的あるいは地域的な指標生物を選びました。

 リーフチェック・チームは全て、基準調査法に従う必要があります。基準調査法の他に、チームが希望する付加的な調査を行うことはかまいません。その結果がリーフチェックのテーマに関係するものであれば、採用されるか少なくとも付随的なものとしてメディアに報告されるでしょう。

データ処理
 各々のダイバーチームは、集めたデータのエラーチェックや処理に対して責任を負います。これはカウント内容の要約や数の合計、あるいは平均を出すといった非常に単純な作業になるでしょう。これらは編集のため地域センターに提出され、最終的に本部に提出されます。広報目的のため多くの専門的な統計を集めるよりも、むしろ様々な形で人的影響を受けている世界中のサンゴ礁の割合を報告することを目指しています。さらに科学的な結果に基づいて、毎年サンゴ礁の状況のグローバルな概要を発表する計画です。

適任
 各々のダイバーチームは、最低、ガイドラインに記載されている生物を同定できる有資格のサンゴ礁学者一人と、殆どの作業を遂行できるようトレーニングされたダイバーのチームとで構成されます。
 リーフチェックに登録するには、各々のチームは登録申請用紙に記入して世界本部に送らなければなりません。

 調査法は、高校生が参加できるように出来るだけシンプルに作られています。実際のチームサイズは、ダイバーのペア4 組ですが、それより大きいグループあるいは小さいグループでも適応できます。ダイバーは、水中での単純作業が行えるよう十分な経験を有していなければなりません。チームメンバーが作業をするのに適任であるかどうかを決定するのは、チームリーダーによります。
 チームリーダーは、自分たちの地域での賠償責任が何であるかを入念にチェックし、参加者は全て、このボランティア活動に対する賠償責任の免責同意書にサインしなければなりません。

賠償責任
 リーフチェックはボランティア・プログラムであり組織ではないので、リーフチェックには何ら賠償責任はありません。リーフチェックの参加者は、自分自身の意思でリーフチェック調査方法論に従う選択をした完全に独立した個人とみなされ、自身の安全について全ての責任を負うものとします。

 リーフチェックでは、潜水は最高12mまでと制限し、危険を最小限に押さえるように工夫していますが、事故はどこでも起こりえます。国によっては、個々のチームリーダー、ダイブマスター、ダイブボートの操縦者などが、チームメンバーの安全に対して何らかの責任を負うかもしれません。各参加者は、参加への個人的決断に対しての責任を負うものではありますが、チームリーダーは、チームメンバーになるかもし
れない参加者に対して、彼等がリーフチェックの作業を遂行するのに十分な経験があるかどうかを決めるのに参考になるようなアドバイスをするべきです。
 十分な用心を期したいため、全てのチームリーダーはチームメンバーに対して、チームリーダーあるいはスポンサーを含める必要がある時は、それに応じて修正を加え、下記の賠償責任の免責同意書にサインをしてもらわなければなりません。チームリーダーは、調査完了後最低一年間はそれを保管しておくべきです。
 
 

[ 賠償責任の免責同意書 ]

 私は、リーフチェックはボランティア・プログラムであることを知っており、参加しなくてもよいことを認めます。
 私は、リーフチェックの調査方法論が、スキューバダイビングのいかなる危険をも最小限にとどめるからではなく、それが科学的情報収集の適切なる方法を提供するがゆえに、リーフチェック調査方法論に従う選択をしたことを認めます。
 私は、科学とサンゴ礁保全に寄与すべく、私自身の自由意思においてこのボランティア活動を行う選択をしたのであり、私のみが、自身の安全と被り得るいかなる障害に対しても責任を負うものであることに同意します。
 私は、Gregor Hodgson ,Institute for Environment and Sustainable Development, Applied Technology Center, Hong Kong University of Science and Technology 、および従業員、代理人、独立請負業者、チームリーダー、あるいは他のボランティアであろうと、上記の如何なるものとも関わりのある人物を告訴しないことに同意します。
 私は、私の安全に対する責任や、リーフチェック調査方法論に従う過程において、あるいは、それから逸脱した活動において私が被り得る障害に対する責任から、それら全ての人々を免責します。


 署名 ________________________________

 日付 _______________

 姓名(楷書で)_____________________________