REEF CHECK JAPAN 2000 結果報告

 
2001.2.17
コーラルネットワーク
1.要旨
 国内でのサンゴ礁調査は、これまでにもさまざまな研究保護機関で行われてきました。残念ながら、それらは非常に限られた地点での詳細な調査であり、各地の比較ができませんでした。我々は世界規模でのサンゴ礁調査方法「リーフチェック」を用いて国内で広く調査を行うことで、この問題を解決しようとしています。これまでに各地のNGO、研究者、ダイビング事業者、ボランティアダイバーの協力を得て調査を実施してきました。
 国内でのリーフチェックは、1997年に2地点でスタートし、1998年は12地点、1999年は11地点、2000年は16地点、と着実に調査データを蓄積してきました。新たに伊豆半島田子、紀伊半島串本、小笠原諸島母島、与論島、久米島はての浜・イチュンザ、小浜島で調査が開始されました。残念ながら噴火により三宅島での調査は実施寸前で中止となりました。また、参加者も着実に増え、2000年はのべ200人を超えるまでになりました。
 2000年の調査では、1999年に沖縄の広い範囲で確認された造礁サンゴ被覆度低下(1998年の白化現象に由来)の影響から、どのくらいサンゴ礁が回復しているか注目していました。調査の結果、多くの地点で造礁サンゴ被覆度の改善がみられました。残念ながら一部の地点では被覆度が改善されておらず、回復に長い年数がかかるのではないかと懸念されます。1999年に沖縄本島辺野古崎で特異的に観察された、サンゴ死滅に起因するガンガゼ属のウニの大幅増加は、2000年は観測されませんでした。
 リーフチェック2001では、サンゴ礁が本当に回復傾向にあるのか、がより明確になると期待しています。どのようにすればサンゴ礁が回復するかを知るためには、より多くの場所で定期的に長期に渡って調査する必要があります。リーフチェックはこの要望に応えられる手段だと考えています。リーフチェックへの支援をよろしくお願いします。

 2.国内調査状況および結果概要 

1)ポイント 沖縄県 西表島 鹿川湾 中の瀬
調査日 2月12日
チームリーダー 野口定松 ダイブサイト・ノグチ
チーム科学者 吉田稔  株式会社海游
主催 ダイブサイト・ノグチ/コーラルネットワーク

参加者 10名
 

【調査結果概要】

通算2回目の調査です。
水深3mでの造礁サンゴ被覆度が向上し、サンゴ礁の健康度が良好であると言えます。水深10mでは大きな変化はありません。
 チョウチョウウオがサンゴ礁の状態が良いにも関らず減少しています。人間による捕獲の影響は考えにくいので、調査時の個体群の分布、または昨年の個体数の分布の影響等の自然の増減の範囲だと考えます。
 シャコガイ属の個体数が減っていますが、人間による捕獲による減少か、造礁サンゴ等との生存競争に負けた減少の、両方の可能性があると考えられます。ガンガゼ、パイプウニの個体数の減少については、調査地