リーフチェック田辺 (紀伊半島) (2008) 調査結果

調査地点名紀伊半島 田辺 西崎サンゴ (和歌山県)
調査日2008/11/16
チームリーダ土川仁
チーム科学者深見裕伸
開催者なみよいくじら
スタードルフィンズ
コーラル・ネットワーク
参加人数16人
水深5m
10m
月齢18.2
潮名中潮
天候
気温16℃
水温海面23℃
-3m23℃
-10m23℃
透視度15m
岸からの距離2.7km
河口からの距離4km
河口の幅11-50m
集落からの距離5km
集落の人口70000人
底質Seg1Seg2Seg3Seg4
合計平均標準偏差
ハードコーラル24232129
9724.253.40360.625
4101419
4711.756.34429.375
ソフトコーラル 0 0 1 0
10.250.50.625
0 0 0 0
0000
最近死んだサンゴ 0 0 2 0
20.511.25
0 1 0 0
10.250.50.625
富栄養化の指標となる海藻 0 0 0 0
0000
111814 6
4912.255.05830.625
海綿類 0 0 0 0
0000
0 1 0 0
10.250.50.625
161711 9
5313.253.86233.125
12 6 715
40104.24325
0 0 0 0
0000
9 1 3 0
133.254.0318.125
0 0 0 2
20.511.25
4 3 2 0
92.251.7085.625
シルト 0 0 0 0
0000
0 0 0 0
0000
その他 0 0 5 0
51.252.53.125
0 0 0 0
0000
魚類調査Seg1Seg2Seg3Seg4
合計平均標準偏差
チョウチョウウオ類 5 3 213
235.754.992
6 5 813
3283.559
イサキ類(コショウダイ類) 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
フエダイ類 0 0 0 0
000
0 1 0 0
10.250.5
サラサハタ 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
ハタ類(30cm以上) 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
メガネモチノウオ 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
カンムリブダイ 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
ブダイ類(20cm以上) 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
ウツボ類 1 0 0 0
10.250.5
2 0 0 0
20.51
無脊椎動物調査Seg1Seg2Seg3Seg4
合計平均標準偏差
オトヒメエビ 0 0 0 0
000
0 0 1 2
30.750.957
ガンガゼ類10111613
5012.52.646
94 72628
15538.7538.03
パイプウニ 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
シラヒゲウニ 0 0 0 0
000
0 0 1 0
10.250.5
ナマコ類 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
オニヒトデ 0 0 0 0
000
0 1 0 0
10.250.5
シャコガイ類 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
ホラガイ 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
イセエビ類 0 0 0 0
000
0 0 0 0
000
被害・ゴミ調査Seg1Seg2Seg3Seg4
合計平均標準偏差
アンカー被害0000
000
0000
000
ダイナマイト被害0000
000
0000
000
その他の被害0000
000
0000
000
魚網屑0000
000
0000
000
その他のゴミ0000
000
0000
000
コメント今回は冬場であるにもかかわらず、調査日は天候もよく、海の 透明度も高かったため、快適に調査ができたと思います。さて 、今回の2008年の調査では全体として生物層が調査を始めた2004 年に近づいている感があります。特に、今年は11月であるにも 関わらずまだ水温が高いため、サンゴ礁系の魚類が多く見られ ました。また、今年は台風が一度も来なかったこともあり浅瀬 のイシサンゴも波浪による破壊を免れ、健康状態は良かったと 思います。ただ、今回調査を行った11月は夏季の間に黒潮によ って沖縄方面から流れ着いた魚類などの生物が多く残っている 時期で、移入初めの5月(これまでの調査月)と直接比較する と多少生物層が異なるのですが、それを差し引いても健康状態 は良好であると思われます。
近年の温暖化の影響で徐々にではありますが、確かに水温は上 昇してきている傾向があります。ただ、田辺湾など黒潮の影響 を強く受ける場所では、黒潮の蛇行が直接冬場の水温の上下と 直結しますので、温暖化の影響と一概にはいえません。そのた め、温暖化に加え、この冬場に黒潮が沿岸に接岸していればか なりの熱帯系生物が越冬する可能性もあります。
ただ、それはそれで大きな問題を生じます。今回、オニヒトデ が1匹しか観察されませんでしたが、冬場の低水温でオニヒト デが死亡しないと今後どんどん増えていく可能性は棄て切れま せん。さらに、この調査では調査対象とはなっていませんが、 イシサンゴ類を食べるシロレイシガイダマシ類がかなり観察さ れました。特に枝型テーブル状のエンタクミドリイシによく着 いており、群体の半分程度が捕食されているものも数群体観察 されました。今後、さらにこの巻貝が増殖すると、イシサンゴ 類の大部分が捕食される可能性があります。
田辺湾などいわゆる温帯域のサンゴ群集では、これまでの予備 的な調査でイシサンゴ類の幼生の新規加入があまり起こってお らず、過去に移入してきた群集が維持されていると考えられて います。以前、田辺湾では低水温などにより、大規模なサンゴ 群集の減少が見られたこともありましたが、その時は群体のほ んの一部分が生き残っており、そこから再び成長しているとよ うに見受けられます。一方、オニヒトデやシロレイシガイダマ シなどによる捕食はサンゴの群体全体を殺してしまうため、再 生ができません。そのようなことが続くと、サンゴ群集自体が 縮小し、しいてはなくなってしまうかもしれません。加入が少 ないため、一度そうなってしまうと、再生するのに何年もしく は何十年とかかるでしょう。そうならないために、このような 僻地のサンゴ群集では、現状を保護しようとするならオニヒト デやシロレイシガイダマシの除去が今後必要になってくるかも しれません。
 最後に、上記にも書きましたが、2005年1−2月の低水温で特 に浅瀬のサンゴがかなり死にましたが、今年はそれ以前の状態 に近づくほど回復してきているように見えます。海が暖かい状 態はサンゴにとっていいのですが、またサンゴの捕食者もつれ てきますので、今後の継続調査によりその関係も明らかになっ てくるでしょう。


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