底質は以下の種類に分類される。
2003年よりFS(多肉質海藻)はNIA(富栄養化の指標となる海藻)と呼称が変わりました。
分類 |
略記号の意味 |
名称 |
1) HC |
Hard Coral |
ハードコーラル |
2) SC |
Soft Coral |
ソフトコーラル |
3) RKC |
Recently Killed Coral |
1年以内に死んだサンゴ |
4) NIA |
Nutrition Indicator Algae |
富栄養化の指標となる海藻 |
5) SP |
Sponge |
海綿 |
6) RC |
Rock |
岩(がん) |
7) RB |
Rubble |
礫(れき) |
8) SD |
Sand |
砂 |
9) SI |
Silt/clay |
シルト/粘土 |
10) OT |
Others |
その他 |
RCにおけるHCの定義は、造礁するかしないかという点で区別されている。
サンゴ類 |
⇒ |
造礁サンゴ類 |
⇒ |
RCでのHC |
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⇒ |
非造礁サンゴ類
(広義のSC) |
⇒ |
群体性のもの⇒RCでのSC |
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⇒ |
単体性のもの⇒RCではOT |
1) HC:ハードコーラル
イシサンゴ類、アナサンゴモドキ、アオサンゴ、クダサンゴは、サンゴ礁を形成するサンゴでハードコーラルに含まれる。
《ここがポイント》
固い骨格があって、礁を形成しているというのが見分けるポイント。触手が長くてSCなどと見分けのつきにくい種類もあるので、注意して根元などを確認し、固い骨格があるかどうか確認する。
2) SC:ソフトコーラル
ウミトサカの仲間が代表的。
《ここがポイント》
スナギンチャク類 ⇒SC(ソフトコーラル)に分類。 (サンゴと生息域を争う生物であり、かつ、他のSCに形状がよく似ている)
ヤギ類、イソギンチャク類 ⇒OT(その他)に分類。
3) RKC:1年以内に死んだサンゴ
ここでは過去1年以内に死んだサンゴが対象。
1年以上前に死んだもの ⇒RC(岩)に分類。
《ここがポイント》
死んだのが1年以内なのかどうかの見極めが難しいが、
●サンゴの形状(壊れて断片になっているものも含む)が残っていて、所々細かい藻などが付いてているものが該当する。
●ただし、表面の藻が荒波で洗い流される場合があるので、白くまだ石灰質の骨格が確認でき、表面のトゲトゲが残っているものがあるが、ポリープは出ていない。
●1年以上前に死んだものは表面のトゲトゲが無くなって丸くなっている。
⇒RC(岩)に分類。
サンゴの生死を見分けるポイント |
生きている ⇒表面はヌルっとしている。 |
死後1週間 ⇒藻に覆われ始める。 |
死後1〜2週間 ⇒表面全体が藻に覆われて茶色くなってくる。(波が荒いと表面の藻が洗い流されるので、骨格を見る。) |
死ぬと石灰藻が出てきてサンゴを固める。 |
4) NIA:富栄養化の指標となる海藻
サンゴモ科を除いた海藻の殆どがここに含まれる。但し、富栄養化の結果起こった多肉質海藻の繁茂を記録することが本来の目的なので、健全なサンゴ礁に通状見られるホンダワラ属は、「FS*」のように他と区別できるように記録しておき、その旨をコメント欄に記入する。
尚、サンゴモ科は、その他(OT)に分類する。
多肉質海藻の例として、タマゴバロニア、ウミウチワ、ミズタマなどが対象となる。また、ホンダワラ属の海藻には、ヒジキ、ラッパモク、コブクロモクなどがある。
《ここがポイント》
タマゴバロニア、ウミウチワ、ミズタマが含まれる。
ホンダワラ属の海藻には、ヒジキ、ラッパモク、コブクロモクなど。
サンゴモ科 ⇒OT(その他)に分類。
(5) SP:海綿
全ての海綿(ホヤなどの尾索類以外)が対象。
サンゴ礁の広面積を覆っている海綿があるかどうかを調べるのが目的。
海綿の中には、サンゴ類を広く覆ってしまうものがある(例:テルビオス類)。
海綿が生息するのはもちろん自然現象であるが、ある一種の海綿が広い海域を占めすぎると生物相が均質化して、サンゴ礁の特徴である生物の多様性がなくなる。こうなってしまうとそのサンゴ礁域は、健全な状態でなくなってしまう。
6) RC:岩(がん)
《ここがポイント》
長径が15センチ以上の石質のもの ⇒すべてRC
泥炭に埋もれていたり、サンゴモやエボシガイ、カキなどに覆われている場合も硬い底質はすべて含む。
死んで1年以上経ったサンゴ ⇒RC
しかし死んだエダサンゴなどは、15cm以下になりやすい。⇒RB
分厚い藻に全体が覆われているサンゴの死骸 ⇒RC
7) RB:礫(れき)
長径が0.5cmから15cmの石質のもの。壊れたエダサンゴの小片などを含む。
《ここがポイント》
長径0.5cm以下 ⇒SD(砂)
長径0.5-15cmの石 ⇒RB(礫)
長径15cm以上 ⇒RC(岩)
8) SD:砂
《ここがポイント》
長径が0.5 cm以下であれば砂とする。水中で、速く底に沈むものは砂である。
9) SI:シルト/粘土
《ここがポイント》
指で触って粒子が感じられないもの。
砂は速く沈むが、シルト/粘土は浮遊状態で残る。
10) OT:その他
HCやSC等の他のどの底質分類にも当てはまらない刺胞動物を対象とする。
イソギンチャク類、ホヤ類、ヤギ類等の他の固着性生物や、それらの死骸が該当する。
※「その他(の刺胞動物)(OT)」を含めた底質分類全てのどれにも当てはまらないものは、記録対象外(その存在を無視する)とし、それらが覆うもの(その下にあるもの)を対象として記録する。
無視するものの例として、サンゴモ等の石灰藻/エボシガイ・カキ等の貝類/アンカー・ゴミ等の人工物あるいはその断片/折れたエダサンゴ等が外的作用(人為的若しくは波浪等による影響等)で他の底質上に移動したもの、等がある。
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