魚類の分類と同定
last update 2001.06.15
*まず手持ちの魚類図鑑などがあれば広げてみましょう。
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リーフチェックにおいては、基本的に特定の指定した種の魚類を除いて【〜類】とかいてあるものは、その種を区別する必要はありません。 
特にその種を個々に区別するものは、下記表において右側の★印のみです。 
 
 
調査対象魚種  
チョウチョウウオ類 ブダイ類
ハタ類 ★メガネモチノウオ
コショウダイ類 ★カンムリブダイ
フエダイ類 ★サラサハタ
ウツボ類  

【注意】
1)他の生物にも言えることですが、魚類も同じ種でありながら、個体ごとのバリエーションや成長過程での変化が大きい場合があります。色や模様だけではなく、形と大きさ、口の位置、行動パターンなどに注意して観察することが必要です。 

2)幼魚は、基本的にカウントしなくてよいことになっていますが、調査チームによっては、形状や色・模様が成魚と変わらない幼魚の場合はカウントに含めたり、全ての調査対象種の幼魚をカウントに含める場合もあります。 
 
 

【チョウチョウウオ類】 

チョウチョウウオ科の仲間はすべてカウントします。種を区別する必要はありません。

識別ポイントは、体型とサイズ、模様、目の所の黒い線、生息場所などで、多くは、白/黒/黄色のいずれかの組み合わせによる体色をしています。種名しての「チョウチョウウオ」が基本形で、殆どのチョウチョウウオの仲間は、これと同じシルエットをしています。目のところの黒い線(泳いでいる時の方向では縦線、生物学上は横縞)がポイントとなる種も多いです。生息場所としては、ほとんどがサンゴのすぐ上で、2匹ペアで泳いでいることが多いです。 
 

*基本形と異なるチョウチョウウオの仲間(調査対象) 

「チョウチョウウオ」と体型が大きく異なるものに、フエヤッコダイの仲間、ハタタテダイの仲間、ゲンロクダイの仲間、ヤリカタギ、ミカドチョウチョウウオ等があります。 

模様で注意する必要があるものには、セグロチョウチョウウオ、ハクテンカタギ、トンプソンチョウチョウウオ(黒一色)等があります。
 

*チョウチョウウオの仲間と間違えやすい魚種(調査対象外) 
・ ヤッコ類(キンチャクダイ類):生物学上は、鰓蓋(えらぶた)のところに棘状の突起があれば、キンチャクダイ類で、体型やサイズが似ているものがいます。 

チョウチョウウオの仲間は、口が尖っているものが多いに対し、キンチャクダイの仲間は、口があまり尖っていません。 

・ ツノダシ:対象魚であるハタタテダイと良く似ているツノダシは、尾ひれの色の違で識別します。  ・ ヒフキアイゴ:チョウチョウウオの仲間と比べて、その大きさと形が異なっています。  ・ カゴカキダイ:沖縄の調査域には、殆どいません。  ・ フタスジタマガシラ:セグロチョウチョウウオと間違われることがあります。体型が異なります。 

【ハタ類】 
サラサハタ以外のハタ科の仲間は、30cm以上のものをカウントします。また、サイズも記録します。 

丸みを帯びた形をしていて、顎があり、目が上の方にあるのが特長です。口は体の中心よりもわずかに下に位置しています。肉食で、通常は岩の上などに静止しているように見えることが多いようです。 

多く見られそうな種としては、ニジハタ、アカハタ、アズキハタ、カンモンハタ、マダラハタ、ユカタハタ、バラハタ、コクハンアラ、スジアラなどですが、「〜アラ」と名前に付く種はコクハンアラを除いて殆どいないと思って良いようです。


 

【コショウダイ類】 
イサキ科全部が対象で、コロダイ等も対象として含めます。 

口の位置が下に付いているのが特長で、たらこくちびるをしています。穴の中や亀裂などにいることが多いです。体長は30〜50cmのものが多いです。 

成魚では、背中側に斑点もしくは縞模様を持つものが多いです。調査範囲にいそうなのは、アジアコショウダイ、チョウチョウコショウダイ、ムスジコショウダイ、アヤコショウダイ、ヒレグロコショウダイ、コロダイ等。

【フエダイ類】 
フエダイ科の仲間はすべてカウントします。 

フエダイは中層を泳ぐ。流線型よりちょっとだけ太った感じで、目から口までが短かく、(すなわち比較的、顔の部分が小さく見える)口は尖っていません(注:ヒメフエダイの成魚は、多少口が出ている)。黄色ベースの配色のものが多いです。 

ヨスジフエダイが代表的。他に、アミメフエダイ、バラフエダイ、マダラタルミ、イシフエダイ、アオチビキ、ニセクロホシフエダイ、オキフエダイ、ロクセンフエダイなど。 

体長10cm以下のフエダイやイトヒキフエダイ、ホホスジタルミ、センネンダイ、ヒメダイ、ウメイロなどは、生息域が違うため殆ど見られません。 
 

*フエダイの仲間と間違えやすい魚種(調査対象外) 

フエフキダイの仲間に、フエダイの仲間と良く似ているものがあるので注意が必要です。フエフキダイは目と口の間が長く、口が尖る方向に曲がっています。体色は白ベースの配色となっています。 

また、ウメイロモドキ、ユメウメイロなどはタカサゴ科に属しますので、対象ではありません(注:ウメイロはフエダイ科ですので、調査対象魚です)。

【ブダイ】
カンムリブダイ以外のブダイ科の仲間は、20cm以上のものをカウントします。 

イロブダイの形や色が代表的で、サンゴも砕く頑丈そうな唇がポイントです。 

調査範囲で多く見られるものには、ブダイ、ナンヨウブダイ、イロブダイ、ハゲブダイ、アオブダイなどがあります。

【カンムリブダイ】 
濃い緑色(単一の色)をしており、頭のでっぱりが特長です。 

調査範囲外で見られた時や魚類調査以外の担当に観測された場合にも記録します。 

【メガネモチノウオ】(ナポレオンフィッシュ)
計測範囲外にいる場合や、魚類以外の担当が見た場合にも記録します。


 

【サラサハタ】 
体型が特徴的。 
【ウツボ類】
※2001年から、ウツボ全種が、魚類の調査対象種として追加される予定です。